電子工学(3年生)
第17回目 講義
講義内容
- pn接合の電流―電圧特性(降伏現象)
- 逆方向バイアス印加時の急激な電流増加(降伏現象)。
- 2種類の降伏現象(ツェナ−降伏。なだれ降伏。)
- ツェナ−降伏: 電位障壁を通り抜ける“トンネル効果”により生じる逆方向電流。障壁が薄いとき通り抜ける確立が増加する。不純物密度が高いほど、空乏層幅は薄くなるので、トンネル現象を生じやすくなる。
- なだれ降伏: 電子なだれを利用した逆方向電流。雪崩を英語で、avalancheと呼ぶので、アバランシェ降伏と呼ぶこともある。電界で加速された電子が、原子間結合に寄与している電子(価電子)と衝突しエネルギーを与えると、価電子が電子と正孔の励起状態になる。これらのキャリアが電界によりそれぞれ加速され同様な現象を引き起こすので、“雪崩”的に電子が増加し逆方向電流の急激な増加を生じる。電子の走行距離が長い方がなだれ現象を生じやすいので、キャリア密度が低い半導体で生じやすい。
- 降伏減少の利用。 ---> ツェナ−ダイオード(定電圧ダイオード)。一定電圧以上印加されないことを利用した、電圧保護回路に利用。あるいは、一定電圧を生じるので、定電圧回路(定電圧源)の基準電圧回路などに利用。
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