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2 恒等式・高次方程式・不等式




<例題1>次の左辺の分数式を,右辺の分数式の和で表せ.( a , b の値を定めよ)

このような変形を,「部分分数に分解する」という.

1 x 2 + x - 6 = a x - 2 + b x + 3


解答例:

x 2 + x - 6 = ( x - 2 ) ( x + 3 ) だから,両辺に ( x - 2 ) ( x + 3 ) をかけると,

1 = a ( x + 3 ) + b ( x - 2 ) ・・・(1)

(1)式に x = 2 , - 3 を代入すると,

1 = 5 a , 1 = - 5 b より, a = 1 5 , b = - 1 5

または,(1)式の右辺を展開して整理すると,

1 = ( a + b ) x + ( 3 a - 2 b )

両辺の係数を比較すると a + b = 0 , 3 a - 2 b = 1

連立方程式を解くと, a = 1 5 , b = - 1 5 したがって,

1 x 2 + x - 6 = 1 5 ( 1 x - 2 - 1 x + 3 )



<例題2>

x 4 - 2 x 3 + 2 x 2 - x - 6 を因数分解せよ.


解答例:

f ( x ) = x 4 - 2 x 3 + 2 x 2 - x - 6 とおく. f ( 1 ) 0 , f ( - 1 ) = 1 + 2 + 2 + 1 - 6 = 0 だから, f ( x ) ( x + 1 ) で割り切れる.実際に割り算をすると, f ( x ) = ( x + 1 ) ( x 3 - 3 x 2 + 5 x - 6 ) となる.

次に g ( x ) = x 3 - 3 x 2 + 5 x - 6 とおく. g ( - 1 ) 0 , g ( 2 ) = 8 - 12 + 10 - 6 = 0 より,

g ( x ) ( x - 2 ) で割り切れる.実際に割り算をすると, g ( x ) = ( x - 2 ) ( x 2 - x + 3 ) となる.

よって f ( x ) = ( x + 1 ) × g ( x ) = ( x + 1 ) ( x - 2 ) ( x 2 - x + 3 )

( x 2 - x + 3 ) は実数の範囲では因数分解できないので,通常はここまででよい.




<例題3> a , b が正の数のとき,次の不等式を証明せよ.また,等号が成立するのはどのような場合か.

(1) a + b 2 a b

(2) a + 1 a 2


解答:

(1)(左辺)-(右辺) = a + b 2 - a b = a + b - 2 a b 2 = ( a - b ) 2 2 0

等号成立は, a - b = 0 のとき,つまり a = b のとき.

この不等式の左辺を「相加平均」,右辺を「相乗平均」という.

(2)(左辺)-(右辺) = a + 1 a - 2 = a 2 + 1 - 2 a a = ( a - 1 ) 2 a 0

等号成立は, a = 1 のとき.

この不等式は(1)を利用して証明してもよい. b > 0 より,(1)の b 1 a を代入すると,

a + 1 a 2 a × 1 a

両辺を2倍すると, a + 1 a 2 1

よって, a + 1 a 2

等号成立は, a = 1 a のとき,つまり a 2 = 1 のとき. a > 0 だから, a = 1 のとき.