<例題1>次の左辺の分数式を,右辺の分数式の和で表せ.(
a
,
b
の値を定めよ)
このような変形を,「部分分数に分解する」という.
1
x
2
+
x
-
6
=
a
x
-
2
+
b
x
+
3
解答例:
x
2
+
x
-
6
=
(
x
-
2
)
(
x
+
3
)
だから,両辺に
(
x
-
2
)
(
x
+
3
)
をかけると,
1
=
a
(
x
+
3
)
+
b
(
x
-
2
)
・・・(1)
(1)式に
x
=
2
,
-
3
を代入すると,
1
=
5
a
,
1
=
-
5
b
より,
a
=
1
5
,
b
=
-
1
5
または,(1)式の右辺を展開して整理すると,
1
=
(
a
+
b
)
x
+
(
3
a
-
2
b
)
両辺の係数を比較すると
a
+
b
=
0
,
3
a
-
2
b
=
1
連立方程式を解くと,
a
=
1
5
,
b
=
-
1
5
したがって,
1
x
2
+
x
-
6
=
1
5
(
1
x
-
2
-
1
x
+
3
)
<例題2>
x
4
-
2
x
3
+
2
x
2
-
x
-
6
を因数分解せよ.
解答例:
f
(
x
)
=
x
4
-
2
x
3
+
2
x
2
-
x
-
6
とおく.
f
(
1
)
≠
0
,
f
(
-
1
)
=
1
+
2
+
2
+
1
-
6
=
0
だから,
f
(
x
)
は
(
x
+
1
)
で割り切れる.実際に割り算をすると,
f
(
x
)
=
(
x
+
1
)
(
x
3
-
3
x
2
+
5
x
-
6
)
となる.
次に
g
(
x
)
=
x
3
-
3
x
2
+
5
x
-
6
とおく.
g
(
-
1
)
≠
0
,
g
(
2
)
=
8
-
12
+
10
-
6
=
0
より,
g
(
x
)
は
(
x
-
2
)
で割り切れる.実際に割り算をすると,
g
(
x
)
=
(
x
-
2
)
(
x
2
-
x
+
3
)
となる.
よって
f
(
x
)
=
(
x
+
1
)
×
g
(
x
)
=
(
x
+
1
)
(
x
-
2
)
(
x
2
-
x
+
3
)
(
x
2
-
x
+
3
)
は実数の範囲では因数分解できないので,通常はここまででよい.
<例題3>
a
,
b
が正の数のとき,次の不等式を証明せよ.また,等号が成立するのはどのような場合か.
(1)
a
+
b
2
≧
a
b
(2)
a
+
1
a
≧
2
解答:
(1)(左辺)-(右辺)
=
a
+
b
2
-
a
b
=
a
+
b
-
2
a
b
2
=
(
a
-
b
)
2
2
≧
0
等号成立は,
a
-
b
=
0
のとき,つまり
a
=
b
のとき.
この不等式の左辺を「相加平均」,右辺を「相乗平均」という.
(2)(左辺)-(右辺)
=
a
+
1
a
-
2
=
a
2
+
1
-
2
a
a
=
(
a
-
1
)
2
a
≧
0
等号成立は,
a
=
1
のとき.
この不等式は(1)を利用して証明してもよい.
b
>
0
より,(1)の
b
に
1
a
を代入すると,
a
+
1
a
2
≧
a
×
1
a
両辺を2倍すると,
a
+
1
a
≧
2
1
よって,
a
+
1
a
≧
2
等号成立は,
a
=
1
a
のとき,つまり
a
2
=
1
のとき.
a
>
0
だから,
a
=
1
のとき.